転職面接で「希望年収はどのくらいですか?」と聞かれた際、特に未経験の職種や業界への転職を考えている方は、どのように答えるべきか迷うことが多いでしょう。
適切な回答ができれば採用の可能性が高まりますが、一方で不適切な回答は選考から外される原因にもなりかねません。

転職面接時に聞かれてどのように答えればいいか迷っている人も多いはず。



選考に左右されるかの不安もあるから、なかなか難しい質問じゃな。
本記事では、未経験者が希望年収を聞かれた際の最適な答え方について、具体的な回答例とともに詳しく解説します。
希望年収を聞かれる理由とは?


企業が希望年収を確認する3つの目的
企業が希望年収を聞く理由は主に3つあります。最も大きな理由は、自社の採用条件にマッチしているかを確認するためです。
1.予算との整合性確認
企業は各ポジションに対して採用予算を設定しています。例えば、年収400万円の予算しかないのに、希望年収が600万円以上の候補者では、どんなに優秀でも採用は困難になります。
2. 候補者の自己評価レベル把握
給与というのはあなたに対する評価を数値化したもののひとつです。希望年収を聞くことで、求職者の自己評価レベルを把握できます。
3.内定辞退リスクの回避
希望年収を聞かないまま内定まで進んだ場合、内定段階で希望に合わずに年収交渉が始まり、内定辞退につながる可能性があります。
未経験者だからこそ知っておきたい面接官の心理
未経験者の場合、企業側は以下のポイントを特に重視します。
- 現実的な期待値を持っているか
-
業界相場を理解した上で希望年収を設定しているか
- 成長意欲があるか
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将来的な昇給を見据えた回答ができるか
- 柔軟性があるか
-
条件交渉に対してオープンな姿勢を示せるか
未経験者の希望年収相場を業界別に解説
転職市場における未経験者の年収相場を理解することは、適切な希望年収を設定する上で重要です。
2023年度に未経験職種への転職で年収アップした20代は約6割で、平均決定年収金額は2019年度と比べて26万円アップ(358万円→384万円)しています。


営業職の未経験者年収相場
営業職は未経験からでも挑戦しやすく、成果に応じて年収アップが期待できる職種です。
「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、20代前半(20~24歳)の営業職の平均年収は約350万円、20代後半(25~29歳)では約450万円です。
この年代では、年収は勤続年数や会社の規模、業界によって大きく異なります。しかし、インセンティブ制度が充実している会社であれば、実績次第で大幅な収入アップも期待できます。
「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、30代前半(30~34歳)の営業職の平均年収は約550万円、30代後半(35~39歳)では約650万円です。
経験を積み重ね、顧客との信頼関係を築くことで、収入の安定と増加が見込めます。30代では、転職によってさらなるキャリアアップや収入アップを目指す営業職の方も多いです。また、管理職への昇進の機会も増えてきます。
- 20代前半平均年収は約350万円
- 20代後半平均年収は約450万円
- 30代前半平均年収は約550万円
- 30代後半平均年収は約650万円
事務・管理系の未経験者年収相場
厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、事務職全体の平均年収(賞与含む)は約445万円となっています。
とくに20代や未経験からスタートする場合は、平均よりも低い水準からのスタートになることが一般的です。地域や職種、企業規模で差が出るものの、20代前半で月給約23万円となっています。
事務といっても、職種や業界によって収入の幅はかなり大きく、経験やスキルを積むことで、年収500万円以上を目指すことも可能です。実際に20代後半で年収350万円〜400万円を実現している方も多くいます。
未経験者の年収目安
- 一般事務:250万円〜320万円
- 経理事務:280万円〜350万円
- 人事・総務:300万円〜380万円
面接で失敗しない希望年収の答え方5つのポイント
ポイント1:事前の年収相場リサーチが必須
仕事内容と経験の両面から平均給与をリサーチしておけば、採用企業との給与交渉もスムーズに進められます。
転職サイトや業界レポートを活用して、以下の情報を収集しましょう。
ポイント2:現実的な範囲で回答する
希望年収を質問されたときは、求人票に記されている年収額の範囲内で答えるのが基本です。
会社の想定年収に比べ、あまりにも高い金額を提示すると「自社の労働条件に合わない」として不採用になるリスクが高まります。
適切な設定方法
- 求人票の年収範囲の下限〜中央値あたりで設定
- 現在の年収から大幅な減額は避ける
- 業界相場との整合性を確保
ポイント3:成長意欲とセットで伝える
未経験者の場合は特に、将来的な成長への意欲を示すことが重要です。
効果的な伝え方: 「現在は○○万円を希望しておりますが、スキルアップとともに段階的な昇給を期待しています」
ポイント4:曖昧な回答は避ける
「特にこだわりはありません」「御社の規定に従います」といった曖昧な回答は避けましょう。具体的な金額を示すことで、自己評価や業界理解度をアピールできます。
ポイント5:交渉の余地を残しておく
未経験職種などへの転職で年収が下がる可能性がある場合は、求人票の記載金額をふまえた上で、希望年収に最低年収を付け加える方法もおすすめです。
【シーン別】希望年収の回答例文集
新卒・第二新卒の場合の回答例
「希望年収は350万円程度を考えております。業界未経験のため、まずはしっかりと基礎スキルを身につけ、将来的には業界平均以上の年収を目指したいと思います。」
「現時点ではこの分野は未経験ですが、着実にスキルを身につけて、御社の即戦力となれるよう努力してまいります。希望年収については、業界の相場や自分の立場を踏まえ、御社の評価に準じたいと考えています。あくまで目安ではありますが、300万円〜350万円程度でご相談できれば幸いです。」
異業種転職の場合の回答例
「前職では○○万円でしたが、業界が変わることを考慮し、希望年収は○○万円を考えております。ただし、御社での評価制度や昇進の機会について詳しくお聞かせいただければと思います。」
「これまでの経験を活かしつつ、新しい領域に挑戦することが今回の転職の目的です。御社で必要とされる力を吸収し、早期に貢献できるよう全力で取り組む所存です。年収は希望として○○万円前後を考えておりますが、仕事内容やご評価によって柔軟にご相談させていただければと思います。」
主婦・ブランクありの場合の回答例
「ブランクがあることを考慮し、希望年収は○○万円からスタートできればと思います。業務に慣れ、貢献度が上がるにつれて、段階的な昇給をお願いできればと考えております。」
「育児のために数年間のブランクがございますが、その期間も社会復帰を見据えて〇〇(例:資格取得やオンライン学習など)に取り組んでまいりました。今後は御社で実務経験を積みながら、着実にスキルアップし、戦力として貢献できるよう努力いたします。年収については家庭の事情もあるため最低でも○○万円でお願いできればと思っております。」
フリーター・アルバイトから正社員の場合の回答例
「アルバイト経験はありますが正社員は未経験のため、希望年収は○○万円程度を考えております。正社員として責任を持って業務に取り組み、早期に戦力となれるよう努力いたします。」
「これまでアルバイトとして働いておりましたが、より責任ある立場で長期的に成長したいと考え、正社員としての就職を希望しております。現時点では即戦力とは言えない部分もあるかと思いますが、基本的なビジネスマナーや現場での対応力には自信があり、今後も学ぶ姿勢を持って取り組んでいきます。希望年収としては、生活の安定と仕事への責任を両立させるために、年収○○万円程度を目安にご相談させていただければと考えています。」
希望年収を聞かれた時のNG回答とその理由
「特にありません」は最悪の回答
この回答がNGな理由
- 自己評価ができていないと判断される
- 業界研究が不足していると思われる
- 交渉力に欠けると評価される
- 仕事への真剣度が疑われる
現職より大幅にアップを要求するリスク
この回答がNGな理由
- 現実離れした期待値を持っていると判断される
- 企業の予算を大幅に超える可能性
- 未経験なのに高望みしすぎと評価される
生活費ベースで回答してはいけない理由
この回答がNGな理由
- 企業への貢献度ではなく個人都合が基準
- プロフェッショナル意識の欠如
- 市場価値を理解していない印象
希望年収交渉を成功させる事前準備


求人票の給与情報の正しい読み方
用語 | 説明 | ポイント |
---|---|---|
基本給 | 賃金のベースとなる金額。 | 昇給や賞与の額に大きく影響 |
月給 | 1ヶ月ごとに支払われる給与の総額 | 手当の内訳を確認 |
年収 | 1年間に支払われる総収入 | 手取りではなく“額面”金額 |
賞与(ボーナス) | 年に1〜2回支給されることが多い臨時報酬。 | 金額や支給月数が明記されているか |
昇給 | 勤続年数や業績・評価によって給与が上がる | どれくらい上がるのかや実績があるか |
固定残業代 | 一定時間分の残業代が月給に含まれている | 何時間・何円分が含まれているか |
インセンティブ | 売上や成果に応じて支払われる報酬。 | 未経験者は初年度は期待しすぎないこと |
手当 | 基本給以外の支給項目 | 支給条件・金額を確認 |
試用期間中の給与 | 入社後の一定期間に支給される給与 | 試用期間後と条件の差異があるか確認 |
面接前に確認すべき3つのポイント
ネットや知り合いの方に面接前に確認できる項目があれば確認することをオススメします。
1.企業の業績と給与水準
- 直近3年間の業績推移
- 従業員の平均年収
- 昇給・賞与の実績
2.評価制度と昇進プロセス
- 人事評価の頻度と基準
- 昇進に必要な期間と条件
- スキルアップ支援制度の有無
3.福利厚生の充実度
- 各種手当(住宅、交通、家族手当等)
- 保険・退職金制度
- 研修・教育制度
よくある質問Q&A
- 希望年収が求人の上限を超えても大丈夫?
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基本的には求人票の年収範囲内で回答することを推奨します。ただし、特別なスキルや経験がある場合は、その根拠を明確に示した上で上限を超える希望を伝えることも可能です。
- 最低希望年収も聞かれた場合の答え方は?
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最低希望年収を付け加える方法として「○○万円が希望ですが、最低希望年収は○○万円と考えております」という答え方があります。この範囲内に求人票の記載金額が含まれていれば、企業の予算範囲に収まる可能性が高くなります。
- 内定後に年収交渉はできる?
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内定後の年収交渉は可能ですが、面接時に希望を伝えておく方が円滑です。内定後の交渉は、追加で判明したスキルや資格、または労働条件の変更がある場合に限定することを推奨します。
- 未経験でも高年収を狙える業界は?
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IT業界、金融業界、不動産業界などは未経験者でも比較的高い年収が期待できます。ただし、2024年の年代別の平均年収は「20代」が360万円、「30代」が451万円でしたので、現実的な期待値を持つことが重要です。
まとめ
未経験者が希望年収について聞かれた際は、業界相場を理解した上で現実的な金額を提示することが成功の鍵となります。単に数字を答えるだけでなく、成長への意欲や企業への貢献意識も併せて伝えることで、面接官に好印象を与えることができます。
転職活動の成功には希望年収の伝え方以外にも多くの要素が関わります。
転職エージェントなども活用しながら、あなたが希望とするキャリアを築いていきましょう!