30代から目指せる職業とおすすめ職種|男女別や未経験などタイプ別に解説

30代での転職は「人生の転換点」とも言える重要な決断です。

の年代では即戦力が求められる一方で、新しいキャリアへの挑戦も十分可能です。

本記事では30代から目指せる職業について、男女別・経験別に詳しく解説し、転職成功のポイントもお伝えします。

30代転職の現実と可能性

30代の転職市場は20代と比べて厳しい面もありますが、豊富な社会経験とスキルを活かせる絶好の機会でもあります。

30代の転職状況

厚生労働省の調査によると、30代の転職者は年々増加傾向にあり、特に30代前半での転職成功率は高くなっています。

厚生労働省「雇用動向調査」によると、2023年の一般労働者の転職入職率（※1）は8.5%。性別・年齢別に見ると、30〜34歳においては男性が9.2 % 、女性が12.3% で、20代後半よりは低く、30代後半よりは高い状況です（図1）。

30代転職の特徴

30代男性におすすめの職業・職種

1.営業職

営業職は未経験からの転職難易度が比較的低い職種です。

営業職を経験しておくとその後のキャリアパスも広がるため、30代男性の転職にも人気の高い職種になっています。

コミュニケーション能力や企画力、交渉力、数字を追う感覚などさまざまなスキルを身につけられます。

30代のうちに営業を経験しておくと次の転職の選択肢も増えていくでしょう。

2.ITエンジニア・プログラマー

IT業界は人手不足が深刻で、30代未経験でも積極的に採用している企業が多数あります。

プログラミングスキルを身につければ、将来的にフリーランスや起業の選択肢も広がります。

一度知識やスキルを身につければ同じ分野での再就職もしやすくなります。

3.コンサルタント

経営戦略、IT、人事など専門分野でのコンサルタントは、30代のキャリアチェンジとして人気が高まっています。これまでの業界経験を活かしながらより戦略的な仕事に携われます。

年々コンサルタントの需要は高まってます。ただ、コンサルタントの善し悪しは直接企業の業績にもつながるため、採用基準が厳しく転職難易度は極めて高めです。

コンサルタント職を目指す方は、中小企業診断士や社会保険労務士、公認会計士、FP、労働安全コンサルタント、キャリアコンサルタントなどの資格を取りながら、専門知識を深めるのもいいでしょう。

4.企画・マーケティング職

企画職は、新しい商品やサービスをイチから生み出したり、既存の商品やサービスを改良したりする仕事です。そして、一般市場の動向を探ってサービスや商品の宣伝・販促を行い、消費者に届けるのがマーケティング職の役割になります。

未経験から企画・マーケティング職への転職の難易度はかなり厳しいため、営業や販売で知識と経験を培ってから転職を目指すのが良いでしょう。

30代女性におすすめの職業・職種

1.事務職・オフィスワーク

事務職は正社員を目指せる求人が多く、30代の場合は実務経験がない場合でもポテンシャルを見込んで採用している企業も多くあります。

一方で、事務職は非常に人気のある職種でもあり倍率も高いです。厚生労働省が発表した一般職業紹介状況(令和4年2月分)によると、全体の有効求人倍率は1.21倍なのに対し、事務職は0.45倍と非常に高い競争率になっています。

従業員人数が少ない会社は上記の職種を全て対応することも非常に多いです。

また、事務職は採用コストをかけたくない企業が多いため、採用してすぐに退職する人は採用しない傾向にあります。そのため転職回数が多い人は事務への転職が難しい傾向にあります。

2.カスタマーサクセス・カスタマーサポート

顧客との関係構築を重視するカスタマーサクセス職は、女性の細やかな配慮を活かせる職種として注目されています。

カスタマーサポートの目的は、問題や疑問の解決をサポートすることです。

カスタマーサクセスの目的は、顧客を業績アップや目標達成などの成功に導くことです。

3.Webデザイナー

クリエイティブな才能とテクニカルなスキルを兼ね備えたWebデザイナーは、多くの企業から求められる存在となっています。

Webデザイナーの仕事は、デザインを作成するだけではなく、想像以上に多岐にわたり、創造性と技術力の両方が求められる職種です。

未経験の30代が目指しやすい職業

1.介護職

高齢化社会において需要が拡大し続ける介護職は、30代未経験でも挑戦しやすい職種です。資格取得支援制度がある職場も多く、働きながらスキルアップができます。

日本の総人口は2009年から13年連続で減少し続けている一方、65歳以上の数は年々増加し、2022年には3,627万人に達し過去最多を更新しています。国内のこういった状況からも、介護職のニーズは年々高まっています。

参考：統計からみた我が国の高齢者｜総務省統計局

【介護職の資格ステップ】

介護職は女性比率の高い職場も多いですが、最近では男性介護士も多くなってきております。

2.販売・接客職

小売業界や飲食業界での販売・接客職は、特別な資格や経験がなくても始められる職種です。将来的には店長や本部スタッフへのキャリアアップも可能です。

販売職はスキルや資格などがなくても仕事ができるため、正社員を目指しやすい職種の1つです。

販売職は求人数が多く、未経験歓迎の求人も多くあります。

販売職は接客業務がメインとなるため、柔軟なコミュニケーションを取れる人材は評価されやすい傾向です。

【販売・接客職のキャリアパス例】

3.運送・物流業界

EC市場の拡大により、配送・物流業界は慢性的な人手不足状態です。

30代からでも安定した収入を得られる職種として注目されています。

30代で高収入を目指せる職業

1.MR(医薬情報担当者)

MRは医師や薬剤師などに医薬品情報を提供する仕事で、営業職の一種です。主に医師や薬剤師などに対して自社の医薬品の営業と販売を行います。

顧客は一般病院や、大学病院、クリニック、調剤薬局などに所属する医師や薬剤師など様々です。それらの顧客へ自社医薬品の適正使用や医薬品の品質・有効性・安全性などの情報を提供します。それと同時に、顧客から医薬品の効果や副作用に関する情報をヒアリングし、自社の新薬開発担当にフィードバックするという重要な役割も担っています。

2.不動産営業

不動産営業の仕事内容は、簡単に言うと、マンションや家などの不動産を個人や法人に販売したり、賃貸契約の提案をしたりすることです。一件あたりの取引額が大きいため、高額なインセンティブを期待できます。

厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」では、産業別の平均賃金が発表されています。 

令和5年度の結果をみると、「不動産業、物品賃貸業」の平均賃金は約34万円、年収に換算すると408万円になることがわかります。

3.保険営業

保険営業はその企業にもよりますが、成果に応じてインセンティブが支払われることがあります。そのため平均年収が高い傾向にあります。

30代の未経験で高収入を目指す場合には、保険の営業も選択肢の一つとしておすすめです。

30代転職に有利な資格・スキル

30代からの就職・転職に役立つ資格や免許を紹介します。

1.簿記

日商簿記検定は、資格の中でも広く知られており、新卒求人でも「日商簿記3級取得者」を条件とするケースがあります。そのため、事務職や経理職などでは、取得が有利になる傾向があります。

簿記の学習を通じて、業務で役立つ会計や経理の知識を身につけられる点も大きなメリットです。特に2級以上であれば、事務職や経理職、会計事務所への応募時に非常に有効です。

また、簿記3級を取得しているだけでも転職の選択肢は広がります。

さらに、難関とされる1級に合格すれば、税理士試験の受験資格を得ることも可能で、将来的なキャリアの幅も大きく広がります。

受験費用は3級・2級で4,000～5,000円程度と比較的手頃で、受験者が多いため教材も豊富です。書店には多数の参考書や教材が揃っており、資格取得へのハードルは高くありません。

2.TOEIC

TOEICは、日常生活やグローバルビジネスでの英語力を測定するテストです。

TOEICにはいくつか種類がありますが、一般的に「TOEIC」といえば、聞く力・読む力を測るTOEIC Listening & Reading Testを指します。リスニングパートとリーディングパート合わせて200問を2時間で解答し、990点満点でスコアが判定されます。合否形式ではなく、多くの大学生や社会人が受験しており、日本で最も知名度の高い英語試験のひとつです。

TOEICのスコアは転職活動でも有利に働きます。

『英語活用実態調査』によると、特に700点以上が目安とされ、企業の海外部門で求められるスコアは平均690点程度です。

外資系企業などでは730点が足切りラインとされることもあり、志望する場合は最低でもこのスコア取得を目指すのがおすすめです。

3.FP(ファイナンシャルプランナー)

FP(ファイナンシャルプランナー)は、個人や法人のお金に関する相談に応じ、資産運用・保険・税金・年金・住宅ローンなどの最適なプランを提案する専門職です。FP資格を取得することで、金融知識を体系的に身につけられるため、転職活動でも大きなアピールポイントとなります。

特にFP2級以上を取得していれば、金融機関や保険会社、コンサルティング業務への応募に有利です。

また、FP1級や実務経験を重ねれば、独立開業や専門職としてのキャリアも目指せます。

転職市場での専門性の証明となるだけでなく、ライフプラン設計や資産管理など実務的な知識も得られるため、自分自身の長期的なキャリア形成にも役立ちます。

4.中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題を分析し、改善策や成長戦略を提案できる国家資格です。

経営戦略、マーケティング、財務、人事、ITなど幅広い分野の知識を体系的に習得できることが特徴で、経営コンサルタントや企業の経営企画・事業開発部門への転職で特に評価されます。

資格取得には、一次試験(経営に関する基礎知識)と二次試験(事例に基づく実務的問題)、さらに実務補習の修了が必要です。

ただ中小企業診断士の取得は、半年～2年程度かかると言われており、費用は5～30万円程度かかります（受験料別）。

キャリアの幅を広げる上でも非常に価値の高い資格といえます。

30代転職を成功させる5つのポイント

1.自己分析の徹底

これまでの経験やスキルを整理することが成功の第一歩です。

単に職務経歴を書き出すだけでなく、過去の業務でどのような成果を上げ、どのスキルが活かせるのかを具体的に明確化することが重要です。自己分析を徹底することで、自分の強みや弱みを把握でき、応募先企業とのミスマッチを防げます。

また、面接では自己分析をもとに、自信を持って自己PRや志望動機を語れるため、採用担当者に信頼感を与えることができます。

自己分析を深めたい方は、本の購入も検討してみてください

2.市場価値の把握

30代は即戦力として期待される年代です。

自分のスキルや経験がどの程度市場で評価されるのかを把握しておくことは、応募先企業の選定や年収交渉に直結します。

たとえば、同じ職種でも企業によって求められるスキルや経験年数は異なるため、事前に求人情報や転職エージェントのデータを活用して、自分の価値を客観的に理解することが大切です。

また、市場価値を把握することで、自分に不足しているスキルや資格も明確になり、必要な準備を計画的に進めることができます。

3.転職理由の明確化

「なぜ転職するのか」を明確にしておくことは、面接での説得力につながります。

キャリアアップや新しい挑戦、ライフスタイルの変化など、具体的かつ前向きな理由を整理することで、採用担当者に納得感を与えられます。30代の場合、単なる給与アップや人間関係の不満だけでは説得力に欠ける場合があります。

自分のキャリアビジョンや将来の目標と結びつけて理由を整理することで、「この人は自社で長く活躍できる」と評価されやすくなります。

4.ネットワークの活用

人脈や情報網の活用は転職活動において、非常に大きな力になります。

元同僚、同業界の知人、LinkedInなどのSNSを通じて、非公開求人や現場のリアルな情報を入手することで、転職活動の成功率を高められます。

情報収集だけでなく、推薦や紹介を通じて採用プロセスをスムーズに進めるケースもあります。また、ネットワークを通じて業界の動向や企業文化を事前に把握することは、面接対策や応募先選定にも大いに役立ちます。

5.長期的なキャリアプランの設計

30代での転職は短期的な条件だけで判断すると失敗しやすい傾向があります。

給与や待遇、勤務地などの条件だけでなく、5年後、10年後の自分のキャリアを見据えた判断が重要です。

たとえば、希望する職種でのスキル習得や将来的な役職、独立や専門性の獲得など、長期的な目標を意識することで、転職先での成長やキャリア形成を最大化できます。

長期的な視点でキャリアプランを描くことは、応募書類や面接でも「自分の将来像を具体的に考えている人」として、採用担当者に好印象を与えます。

30代転職の注意点とリスク

まとめ

30代からの転職は決して遅くありません。

むしろ、豊富な経験とスキルを活かして、理想のキャリアを実現する絶好のチャンスです。

本記事で紹介した職種や転職成功のポイントを参考に、あなたにとって最適なキャリアパスを見つけてください。

重要なのは、自分の価値観と将来のビジョンを明確にし、戦略的に転職活動を進めることです。必要に応じて転職エージェントも活用しながら、新しいキャリアへの第一歩を踏み出しましょう。

転職は人生の大きな決断ですが、適切な準備と戦略があれば、30代からでも十分に成功を収めることができます。あなたの転職活動が成功することを心より願っています！